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2026年3月22日、南京にて一人の偉大な学者がその生涯を閉じました。 南京師範大学教授であり、中国韻文学会会長や中央電視台(CCTV)の人気番組『中国詩詞大会』の総顧問も務められた鍾振振(Zhong Zhenzhen)先生。享年77歳でした

 

この訃報に、学界のみならず多くの詩詞ファンが深い悲しみに包まれています。

 

1. 「詞学の大家」から受け継いだ正統なる血脈

 

鍾先生の学問の根底には、伝説的な詞学のマエストロ・唐圭璋先生の教えがあります。1988年、鍾先生は唐先生のもとで「第一号の博士」として学位を取得しました。

 

以来40余年、先生は単なる研究者の枠に留まらず、古典詩詞の校勘、考証、箋注(注釈)といった地道かつ厳格な「古文献整理」に心血を注ぎ続けました。その緻密な仕事ぶりは、多くの学徒にとっての北極星のような存在でした。

 

唐圭璋先生與弟子達,左起:鍾振振、王篠芸、唐圭璋、楊海明

 

2. 「学術」を「お茶の間」へ繋いだ情熱

 

鍾先生が他の研究者と一線を画していたのは、「詩詞の普及」に対する並々ならぬ熱意です。

 

  • 『中国詩詞大会』総顧問: 中国全土を熱狂させた詩詞ブームの影には、先生の深い知見と監修がありました

 

  • 膨大な著作群: 『賀鋳詞集校注』のような専門書から、『鍾振振講詞』『中国古典詩詞の理解と誤解』といった、一般読者が古典を正しく、かつ楽しく理解するための著書を数多く遺されました

 

先生は「学問は象牙の塔に閉じこもるものではない」という姿勢を、その生涯をもって体現されていました。

 

 

3. 盟友・莫砺鋒先生が贈った「最後の手向け」

 

南京大学の資深教授であり、先生の盟友でもある莫砺鋒(ばく・れいほう)先生は、深い哀悼の意を込めて次のような挽聯を贈られています。

 

「振振兄千古 遺文猶可誦,探賾霊心箋賀鋳;隣笛不堪聞,解頤妙緒失匡衡」

 

この言葉には、北宋の詞人・賀鋳(がちゅう)の研究に魂を注いだ先生の功績への敬意と、その「絶妙な語り口(解頤妙緒)」を失ってしまったことへの痛切な悲しみが込められています。

 

2019年,鍾振振先生《莫砺鋒文集》学術研討会発言

 

結び:遺された言葉は、今もなお響き続ける

 

鍾先生はかつて、恩師・唐圭璋先生との思い出を綴った『鍾振振:従唐圭璋先生学詞記』という文章を後学のために公開し、多くの学徒を勇気づけました。

 

鍾振振先生授業

 

先生が教壇に立ち、熱っぽく詩詞を語る姿は、今も私たちの目に焼き付いています。肉体は滅びても、先生が人生をかけて整理し、注釈を加え、そして愛した「古典の言葉」は、これからも私たちの心を豊かに彩り続けることでしょう。
 
鍾先生、どうぞ安らかにお眠りください。

 


 



















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