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新刊紹介:中国支配下の水資源と環境――「水」を入口に見えてくる、中国の統治と周縁のリアル

2026-02-04





書名:中国支配下の水資源と環境

著者:小林 善文

出版年月日:2026/01/30

ISBN: 9784762967658

判型・ページ数: A5・198ページ

 

中国の環境政策は、再生可能エネルギーや温暖化対策のイメージで語られる一方、石炭依存や水資源の偏在、そして大規模開発がもたらす地域社会への影響など、矛盾と緊張をはらんでいます。本書はその“見えにくい核心”を、水資源と環境という最も具体的で、かつ政治・経済・社会の全体に直結するテーマから掘り下げていく一冊です。

前近代の王朝期から現代の中華人民共和国に至るまで、「中央」と「周縁」を往復しながら、環境政策・開発・移民・水質汚染・ダム建設などの問題を、歴史的文脈と現場の具体性をもって描き出します。

 

この本の読みどころ:環境論ではなく「統治論」として読む

本書が鋭いのは、環境問題を単なる“自然の問題”としてではなく、統治・開発・格差・移動(移民)まで含む社会の問題として扱う点です。序論では、中国が温暖化対策を掲げつつ石炭使用量が多いこと、水資源が乏しく偏在していることなど、今日の前提条件が示されます。
その上で各章は、政策の一般論から入り、地域ごとの「具体」に降りていきます。読み進めるほどに、「水の配分」や「ダムの建設」が、誰の暮らしをどう変え、どこに負担を押しつけるのかが立体的に見えてきます。
 

章立てから見える“射程の広さ”

扱われる地域は、まさに中国を理解するうえで避けて通れない要所ばかりです。

  • 環境政策の特質:温暖化政策、環境影響評価(アセスメント)、環境史研究からの政策評価

  • 新疆:清代の屯田から20世紀の開発、新疆生産建設兵団と生態環境

  • チベット(雅魯蔵布江流域):開発の展開と環境保護政策の課題

  • 雲南(瀾滄江など):ダム建設、湖沼・河川汚染、水土保持、シーサンパンナの実情

  • 北京と南水北調:中線工程の完成、移民問題、水質と運用の論点

  • 淮河流域:歴史的な治水・開発と汚染の蓄積

  • 北部乾燥地帯(黄河・黄土高原、黒河流域など):退耕還林、生態移民、牧区、開発の方向性

 

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