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杭州・西湖のほとり、孤山(こざん)に佇む「西泠印社」。120年の歴史を誇るこの「天下第一の名社」の入り口には、ある一組の対聯が刻まれています。
「印は東漢に伝わり今も昔の如し、社は西泠に結び久しく且つ長し」
この力強い文字を書いた人物こそ、西泠印社を創設した「四君子」の一人であり、最も年長者として社を支え続けた葉銘(1867-1948)です。
今回は、華やかな芸術家たちの影で、ある時は「磐石の礎」として、またある時は「孤独な守護者」として印学の火を絶やさなかった彼の生き様に迫ります。
1. 「一言九鼎」:すべては三人の出会いから始まった
1902年、当時30代で既に杭州の篆刻界で名を馳せていた葉銘のもとを、一人の青年が訪ねます。のちに名家となる王禔(おうし)です。二人はすぐに意気投合し、さらに丁仁(ていじん)が加わります。
「古き良き金石の学問を、単なる文人の遊びに留めず、後世へと語り継ぐ場所を作りたい」。
この熱い志に、旧友の呉隠(ごいん)が加わり、1904年、ついに「保存金石、研究印学(金石を保存し、印学を研究する)」を掲げた西泠印社が誕生しました。

2. 印史三千年の「骨組み」を作った男
葉銘が「守護の功」と称えられる理由は、単に創設者の一人だからではありません。彼は自身の創作以上に、「印人の歴史を記録すること」に心血を注ぎました。
明清時代の先人たちの仕事を継承し、一人で膨大な資料を博捜した彼は、最終的に1,886名もの印人を網羅した『広印人伝』16巻を完成させます。これは中国印学史上、空前絶後の巨著であり、散逸しかけていた印学の脈絡を現代へと繋ぐ「学術的な骨格」となりました。
また、名家・趙叔孺(ちょうしゅじゅ)の未完の印譜を補筆した際も、彼は自分の個性を出すことを固辞し、徹底的に趙氏の作風に寄り添いました。「自分を表現することよりも、伝統を完璧な形で残すこと」。その謙虚な姿勢こそが、彼の真骨頂です。

3. 孤山を愛し、戦火から「家」を守り抜く
葉銘は30年以上にわたり、孤山を離れることなく印社を守り続けました。
彼のこの「古道熱腸(情に厚く誠実であること)」な献身があったからこそ、西泠印社の社地と文化財は、戦火の中でもほぼ無傷で保存されたのです。

結び:
葉銘の芸術は、「平正典雅(正しく、雅やか)」と評されます。それは単なる作風ではなく、彼の生き方そのものでした。
派手な名声を求めず、ただ静かに、磐石のように印社の基礎を支え続けた30余年。彼が刻んだのは石だけではなく、「文化を守り抜くという信念」そのものでした。
中国西湖を訪れる機会があれば、ぜひ孤山の石坊を見上げてみてください。そこには、今も変わらず、一人の男が捧げた情熱が静かに息づいています。

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